「40代からNISAを始めても、もう遅いんじゃないか」「20代から始めた人に追いつけないのでは」と感じていませんか。確かに早く始めるほど有利なのは事実ですが、40歳から65歳まで25年あります。本記事では、シミュレーションの数字を使って40代スタートでも十分な老後資金をつくれる根拠を示します。
「40代からでは遅い」は本当か?数字で検証する
結論から言えば、40代からでもNISAで老後資金を形成するには十分な時間があります。40歳から65歳まで25年間、年率3%・5%・7%で積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。
| 月額積立 | 年率3% | 年率5% | 年率7% |
|---|---|---|---|
| 月5万円×25年 | 約1,114万円 | 約1,488万円 | 約2,027万円 |
| 月10万円×25年 | 約2,228万円 | 約2,976万円 | 約4,054万円 |
| 月10万円×20年 | 約1,642万円 | 約2,055万円 | 約2,605万円 |
| 月15万円×25年 | 約3,342万円 | 約4,464万円 | 約6,081万円 |
月10万円を25年積み立てれば、年率5%で約2,976万円になります。いわゆる「老後2,000万円問題」は夫婦どちらか1人分の積立だけでもクリアできる計算です。
確かに、25歳から40年間積み立てた人と比べれば差は出ます。しかし「過去は変えられないが、今日が人生で一番若い日」です。始めなかった場合のゼロと比べれば、40代スタートでも数千万円の資産形成が可能なのは明らかです。
40代の強み=年収ピーク×成長投資枠の積極活用
40代には若い世代にはない強みがあります。それは年収のピークに差しかかっていることです。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、日本の給与所得者の平均年収は40代後半〜50代前半が最も高くなります。20代のころは月2〜3万円を捻出するのが精一杯でも、40代なら月10万円以上を投資に回せる家庭も少なくありません。
この資金力を活かして、新NISAの成長投資枠(年間240万円)を積極的に使う戦略が有効です。
- つみたて投資枠: 月10万円×12か月=年間120万円を満額で積立
- 成長投資枠: ボーナスや余剰資金で年間120〜240万円を追加投資
- 夫婦合計: 年間最大720万円の非課税投資が可能
つみたて投資枠だけでは年間120万円が上限ですが、成長投資枠を併用すれば1人で年間最大360万円、夫婦で720万円の投資ができます。生涯投資枠1人1,800万円を最短5年で埋めることも理論上は可能です。40代の資金力と成長投資枠の組み合わせは、若い世代にはない「逆転カード」と言えます。
65歳リタイアからの逆算プラン:月いくら投資すべきか
目標額から逆算して、毎月いくら投資すればよいかを確認しましょう。年率5%で計算した場合の目安です。
目標2,000万円の場合
- 40歳スタート(25年): 月約3.4万円
- 45歳スタート(20年): 月約4.9万円
- 50歳スタート(15年): 月約7.5万円
目標3,000万円の場合
- 40歳スタート(25年): 月約5.0万円
- 45歳スタート(20年): 月約7.3万円
- 50歳スタート(15年): 月約11.2万円
目標4,000万円の場合
- 40歳スタート(25年): 月約6.7万円
- 45歳スタート(20年): 月約9.8万円
- 50歳スタート(15年): 月約15.0万円
40歳スタートなら月5〜7万円の積立で3,000〜4,000万円の資産を目指せます。夫婦で同じ金額を積み立てれば、世帯全体で2倍のペースになります。
まずは家計を整理して「今すぐ投資に回せる金額」を算出しましょう。具体的な手順は3ステップです。
- 毎月の手取り収入を確認する
- 固定費(住居費・保険・通信費)と変動費(食費・交際費)を書き出す
- 収入−支出−緊急用の貯金(生活費3〜6か月分を確保済みか確認)=投資可能額
夫婦の年収に合わせた配分の詳細は「年収別NISA配分完全版」を参考にしてください。
積み立て期間が短いからこそ出口戦略を同時に設計する
40代から始める場合、積立フェーズから取り崩しフェーズまでの時間が短いため、入口と出口を同時に設計することが重要です。
65歳時点で3,000万円の資産があった場合、取り崩し方によって資産の寿命が大きく変わります。
- 定額取り崩し(月15万円固定): 約22年で資産がゼロに(87歳で枯渇)
- 定率取り崩し(残高の4%÷12か月): 理論上は資産が枯渇しない。ただし取り崩し額が年々減少
定率4%ルールは、過去のデータに基づき「年間4%の取り崩しなら30年以上資産が持続する」という研究をもとにした考え方です。3,000万円なら初年度の取り崩し額は年間120万円(月10万円)になります。
積立開始と同時に「何歳から、いくらずつ取り崩すか」の見通しを立てておくと、目標額の設定がより具体的になり、モチベーションも維持しやすくなります。
出口戦略の詳細は「出口戦略を同時に考える」で詳しく解説しています。
40代が陥りがちな3つの失敗パターンと対策
40代で投資を始める場合、焦りから判断を誤るケースがあります。よくある失敗パターンと対策を押さえておきましょう。
失敗1: 焦って高リスク商品に集中する
- 「時間がないから短期間で増やしたい」と、個別株やレバレッジ型商品に集中投資してしまうケース。暴落時に資産の大半を失うリスクがあります
- 対策: 分散投資の原則を守る。eMAXIS Slim 全世界株式(通称オルカン)やS&P500連動型のインデックスファンドを軸にして、1つの商品への集中を避ける
失敗2: まとまった貯金を一括投資する
- 退職金や貯金を一度に投入し、直後に暴落して「やっぱり投資は怖い」と撤退してしまうパターン
- 対策: 一括投資と積立投資を半々にする。たとえば500万円の余剰資金があるなら、250万円を一括で成長投資枠に投入し、残り250万円は月10万円ずつ25か月に分けて投資する
失敗3: 目標額が曖昧なまま始める
- 「とりあえず老後が不安だから」で始めて、途中で方針が定まらなくなるケース
- 対策: 「65歳時点で夫婦合計○万円」と具体的な数字を決める。上のシミュレーション表を使って必要な月額を逆算すれば、日々の積立に迷いがなくなる
まとめ
40代からのNISAスタートは決して遅くありません。
- 40歳から25年間、月10万円を年率5%で積み立てれば約2,976万円に到達する
- 40代は年収ピーク期の資金力を活かし、成長投資枠も積極的に活用できる
- 目標額から逆算して月額を決め、「いくら投資すべきか」を明確にする
- 積立期間が短い分、出口戦略(取り崩し計画)も同時に設計しておく
- 焦りによる3つの失敗パターン(高リスク集中・一括投資・目標なし)を避ける
「40代から始めても遅い」のではなく、「40代で始めなければもっと遅くなる」のが現実です。今日が人生で一番若い日。シミュレーターで自分たちの目標額と月額を確認するところから始めてみてください。