産休・育休に入ると収入が減り、「NISAの積立を一旦やめた方がいいかな」と考える方は少なくありません。しかし結論から言えば、完全に止めるよりも少額でも継続する方が、30年後に大きな差になります。この記事では、産休・育休中のNISA最適な対応策を、収入変化のシミュレーションとともに解説します。
産休・育休中もNISAを継続すべき理由
産休・育休は通常1〜2年。一方、NISAの運用期間は20〜30年です。短期の収入減よりも長期の複利効果を止めないことの方が、資産形成には重要です。
- 複利効果が途切れない: 月3万円の積立を1年間停止した場合、30年後の差額は年率5%で約100万円以上。たった1年の停止が将来の大きな差になります
- ドルコスト平均法が継続される: 少額でも毎月積み立てることで、相場が下がった時に安く多く買える効果が維持されます
- 非課税枠の活用機会を逃さない: NISAの生涯投資枠は1人1,800万円。投資を止めている間も枠の上限は変わらないものの、時間を味方につける複利効果を活かすには「早く・長く」運用することが大切です
産休・育休中の収入変化を整理する
産休・育休中の収入は思ったほど減らないケースもあります。月収25万円のモデルケースで確認しましょう。
| 期間 | 給付内容 | 月額目安 | 社会保険料 |
|---|---|---|---|
| 産前休業(出産予定日前42日) | 出産手当金(日額の2/3) | 約16.7万円 | 免除 |
| 産後休業(出産後56日) | 出産手当金(日額の2/3) | 約16.7万円 | 免除 |
| 育休前半(180日まで) | 育児休業給付金(給与の67%) | 約16.7万円 | 免除 |
| 育休後半(181日以降) | 育児休業給付金(給与の50%) | 約12.5万円 | 免除 |
社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されるため、手取りベースでは産前の約70〜80%が確保できます。「収入がゼロになる」わけではありません。
積立額の見直し基準
育休中の積立額は、以下の3段階で見直すのが現実的です。
- 50%減額: 育休前に月3万円→育休中は月1.5万円。給付金の範囲内で無理なく継続できる水準
- 70%減額: 月3万円→月1万円。生活費の負担が大きい場合に。最低限の複利効果を維持
- 最低額維持: 月3万円→月1,000〜5,000円。「とにかく止めない」ことを最優先にする場合
大切なのは、完全停止と少額継続の差は大きいということです。月1,000円でも積立を続ければ、ドルコスト平均法の効果で相場の底で安く買えるチャンスを逃しません。停止してしまうと再開のハードルが心理的にも上がるため、少額でも継続しましょう。
ネット証券(SBI証券・楽天証券)であれば、積立金額の変更はマイページから数分で完了します。「育休に入ったら月1万円に減額」「復職したら元に戻す」という操作が手軽にできるのも、ネット証券の大きなメリットです。
育休手当を活用した投資継続シミュレーション
月収25万円の共働き夫婦(夫30万円・妻25万円)をモデルに、妻の育休中に投資に回せる金額を試算します。
| 項目 | 育休前 | 育休中(前半) | 育休中(後半) |
|---|---|---|---|
| 妻の月収(手取り) | 20万円 | 16.7万円(給付金) | 12.5万円(給付金) |
| 夫の月収(手取り) | 24万円 | 24万円 | 24万円 |
| 世帯月収 | 44万円 | 40.7万円 | 36.5万円 |
| 生活費(育児費込み) | 30万円 | 33万円 | 33万円 |
| 投資可能額 | 14万円 | 7.7万円 | 3.5万円 |
育児費用の増加を見込んでも、育休前半は月7万円程度、後半でも月3万円程度の投資余力があります。もちろん家庭によって状況は異なりますが、「投資余力がゼロになる」ケースは多くありません。
なお、出産手当金と育児休業給付金は非課税(所得税・住民税がかからない)です。給付額がそのまま手取りになるため、額面ベースで比較するよりも実質的な収入減は小さくなります。この点も投資継続の判断材料として押さえておきましょう。
夫の積立増額で世帯合計を維持する方法
妻の積立を減額する分、夫が増額することで世帯全体の投資額を維持する方法も有効です。
| 名義 | 育休前 | 育休中 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 月5万円(つみたて枠) | 月7万円(つみたて枠5万+成長枠2万) | +2万円 |
| 妻 | 月3万円(つみたて枠) | 月1万円(つみたて枠) | -2万円 |
| 世帯合計 | 月8万円 | 月8万円 | ±0 |
夫が成長投資枠の活用を始めるきっかけにもなります。つみたて枠の月5万円はそのまま継続し、成長投資枠で月2万円を追加。妻の減額分を補いながら、夫のNISA枠活用も進むという一石二鳥の戦略です。
この方法のメリットは、育休が終わって妻の積立額を元に戻す際に、夫の増額分を元に戻すだけで済むことです。世帯全体の投資額を一定に保つことで、相場の変動に左右されず安定したペースで資産形成を続けられます。
復職後の積立ステップアップ計画
復職後は保育園費用の発生(月3〜5万円)や時短勤務による収入減があるため、すぐに育休前の投資額に戻す必要はありません。段階的に元の水準に戻しましょう。
- 復職〜3か月目: 慣らし期間。育休中の積立額をそのまま維持(月1〜2万円)
- 3〜6か月目: 生活リズムが安定したら、育休前の50%水準まで増額(月2〜3万円)
- 6か月〜1年目: フルタイム復帰・保育園費の安定後、育休前の水準に戻す(月3〜5万円)
- 1年目以降: 昇給や保育園の無償化(3歳以降)に合わせて、さらに増額を検討
詳しい復職後の手順は「育休明けのNISA再開手順」でも解説しています。
まとめ
産休・育休の各フェーズで取るべきNISAのアクションを整理します。
| フェーズ | 期間 | NISAの対応 |
|---|---|---|
| 産休前 | 出産予定2か月前 | 積立額の減額設定を検討 |
| 産休中 | 産前42日+産後56日 | 少額継続(月1万〜) |
| 育休前半 | 〜180日 | 給付金67%を活かし月1〜2万円継続 |
| 育休後半 | 181日〜 | 月1,000〜1万円で最低限継続 |
| 復職直後 | 〜3か月 | 慣らし期間。育休中の額を維持 |
| 復職安定期 | 3か月〜 | 段階的に元の積立額へステップアップ |
「止めない」ことが最大の資産形成戦略です。産休・育休は一時的なものですが、NISAの複利効果は30年以上にわたって続きます。短期の収入変動に振り回されず、長期の視点で資産形成を継続していきましょう。
「夫婦NISA完全ガイドはこちら」や「共働き夫婦の年収別配分」もあわせてご覧ください。